第27回 年の暮れに想う…
商業施設新聞 2016年12月20日(火)掲載
平成28年、今年も余すところあと数日で
終わりをつげ、平成29年を迎えようとしている。
様々な出来事があった今年、中でもアメリカの大統領選挙、大方の予想に反して?D・トランプの勝利となり来年の1月20日に正式就任となる。既にTPP不参加の表明、そして我が国の米軍基地問題…等々、政治的のみならず経済的にもいろんな影響を受けることは目に見えている。
そして国内流通業界についていえば、百貨店業界の変調=売上減、退店は見逃せない。
昨年の『爆買い』もあっという間に鎮静化し、正に生き残りをかけた構造改革が迫られているのは周知の事実。
この先一体どこへ行くのだろうか?
ネットでの買い物がより便利になり、スマホの普及とともに身近になっている。この様な消費構造の変化はリアル店舗にとって欠かせない課題であり、この様な時代の変化に対応できない会社・店そしてSCにとっては、自ずから縮小への道が待っているのである。
その一方SC(ショッピングセンター)は今年も40以上増え3200を超えてきた。
と同時に古くなったSC、時代の流れに追いつかず陳腐化してしまったSC等のこれまでにない大規模なリニューアル、改修工事等を含むリノベーションが数多く見られる。
勿論ハード面のみならずキーテナントの入れ替え、欠落業種の新規導入…その根底には競合店に如何にして打ち勝ち生き残るか?という差別化戦略が重点事項となっている。
必然的にテナントにも様々な影響を及ぼし、お引き取り=退店を強いられる例も出てくるその反面『お呼ばれテナント』にとっては絶好のチャンスとも言える。
それだけに出店開発担当者にとってはより豊富な情報力とタフな交渉力が試されなかなか難しい局面であり、そのジャッジメントを誤ると取り返しがつかなくなることも大いにあり得るのだ。
いずれにしても少子高齢化・社会構造の変化の波、『モノからコト』へという消費者意識の動向…これらを見極めながらも時代の流れに逆らうことはできない。
平成29年は開発担当者にとって、しっかりと自社の足元を固めながらも『サムシング』にチャレンジしてみる必然性があるのではないだろうか?そんな事を想う平成28年の暮れである。