株式会社ジェイ・プラン

COLUMN
だから開発はオモシロイ

第49回 今百貨店が・・・

商業施設新聞 2018年10月16日(火)掲載

貴方は最近『百貨店』でお買い物をしたことがありますか?・・・と本稿に取り掛かり始めた時にこんなニュースが発信されてきた。
三越伊勢丹HDが本年2月の松戸店に続いて2020年の3月までに、次の3店舗の閉店を発表した。相模原店・府中店・新潟三越である。いずれも赤字の幅が大きく、今後も投資回収の見込みが立たないとの事。1兆円を超える売上高を誇る業界No1企業が…である。
この三越伊勢丹HDの決断は経営の効率化・若者の百貨店離れ等など様々な要因が考えられるが、地方百貨店に目を向けてみると、都心立地と違い、それぞれの地域特有の深刻な問題を抱えながら前年の実績に届かずジリ貧となり、かなりの苦境が伝えられ廃業に追い込まれている例も珍しくない。
一方先月の25日東京日本橋の高島屋新館がオープンした。オープニングに際しかなりの量のTVCMが流されたがそこには百貨店とは言わず『SC誕生!』と打ち出されていた。114のテナントを揃えた『新都市型SC』がキャッチフレーズである
昨年4月にオープンした『GINZA SIX』も銀座松坂屋の建て替えリニューアルオープンであり、240ものテナントを配している。同じく11月には上野松坂屋南館においても同グループになったPARCOの新業態?としてシネコンTOHOシネマズを上層階に入れた専門店ビル『上野パルコヤ』となり百貨店から大きく生まれ変わった。
この様に『小売りの王様』と言われ週一定休日があり、18時閉店が当たり前だった時代をを若い人たちは知らないだろうが、広く愛されたデパート=百貨店がここ何年かで実に様々な専門店をテナントとして導入したりと、新しい道を見い出し大きく舵を切っている。というより切らざるを得ない時代環境になってきているのは一目瞭然である。
あの三越と伊勢丹・大丸と松坂屋が合併しそれぞれ一つの企業になるとは、一昔前には想像もつかなかったのである。ただ単に時代の進化、変化への対応なのだろうか?
 消費経済・構造が大きく変化しているのは間違いない。便利なEC=インターネット通販の拡大・郊外型ショッピングモールの台頭・
都市部における外国人観光客のインバウンドの影響・・・いろいろな要因が考えられるが、小売業界においては、少しずつではあるが百貨店と駅ビル等SCとの垣根が低くなってきているようだ。
 一般消費者にとっては、駅ビルでもモールでも、そして百貨店でも何でもいい、そこへ行くのが楽しくて、魅力のある『お買い場』でありさえすれば・・・を願うばかりだ。

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