株式会社ジェイ・プラン

COLUMN
だから開発はオモシロイ

第35回 アパレルの蹉跌

商業施設新聞 2017年8月15日(火)掲載

梅雨明けが例年より早く連日好天に恵まれたが、不発に終わった?今夏のバーゲンも一段落したファッション店。

まだまだ残暑厳しい中で売り場は既に秋物が幅を利かせ、その一方売れ残った夏物は片隅に追いやられている

昨年3月の本稿NO18『ファッションが売れない!』の中でイトキンがファンドの傘下にとか、ワールドは400~500店舗閉鎖…等の事例を記してみたが、ファッションマーケット環境は全く変わっていないようだ。

その一方でスマホの普及に伴いいつでもどこでも手軽に買えるzozotownのようなECの伸びがすさまじい、そして新たにメルカリなどのリサイクル・リユース等のマーケットも若者を中心に拡大している。

消費者の嗜好・消費行動が変化したのか?目が肥えてトキメキを感じなくなったのか?ファストファッションの台頭、そしてファッションビル・モール・駅ビルといわれるSCが全国津々浦々に増えすぎ、供給過多になっているからなのか?いずれにしてもこれらの競争社会で多くのファッション店が客数の減少に頭を悩ましている現状に変わりはない。

アパレル企業にとって何らかの解決策はあるのだろうか?ただ単に前年あるいは前シーズンの売れ筋(自社に限らず)に素材の乗せかえ等の小手先の変化・企画だけでは通用しなくなってきている事だけは確かである。

古くは各大手アパレルに限らず雨後の竹の子のように出てきたマンションメーカー(今では死語なのか?)が競って自社ブランドテーマを強く打ち出し斬新なアイデアで勝負した時代もあった…また80年代のDCブランドと言われた『独自の世界観』は帰ってこないのか?ただ単にリスクを負えず冒険できなくなっている今の時代背景・経済社会そして消費環境がそうさせるのか?大変難しい局面になっていると感じざるを得ない。そこにはビジネスモデルの変更そしてリノベーションが必要になってくるのだろう。

といいながら、あちこちのSCに聞いてみるとこのような厳しい環境下でも今夏確実に数字を伸ばしているブランドも少なからずあるようだ。二極化の進行か?

我が社においてもSCからの『ファッション店誘致』の開発相談が少なくなっている、言い古されてはいるがこの波『モノからコトへ』は避けられないようである。そしてSCの中に占めるファッション店の面積がここ何年も少しずつ減少している現実もあるが、絶対的に無くならないビジネスだけにアパレル企業の復活を祈りながら今後も興味深く見つめていこうと思っている夏の終わりである。

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