第33回 大いなる勘違い
商業施設新聞 2017年6月19日(月)掲載
4月に華々しくオープンした『ギンザシックス』ゴールデンウイークが過ぎても、その勢いは続いているようだ、と同時に銀座地区へのお客様が大きく増え周辺の競合施設のみならず路面商店へもかなりの波及効果が現れ、正に地域活性化に大きく貢献している。
出店依頼が来たけれど断ってしまい失敗した…という知り合いの声もいくつか聞いている。
しかし今全国あちこちでSCの新規開発が計画されているが、この様にすべてがうまくいくとは限らない現実がある。
新規に店を開店すると1年目はトントン、2年目で2割位売上げがアップし、その後も更に2割位アップで安泰といわれた昭和の時代と今は全く変わってきている。『店を出したら儲かる!』は単なる勘違いそして幻影に過ぎないのである。特に駅ビルとかファッションビルと言われる都心型のSCに出店した場合、決して安くない賃料だけど大きな売上げが見込めるし又競合他店との争いで鍛えられ、自店が成長できる筈だと大いなるメリットが考えられると皆思うのである。そこを踏み台に事業拡大・成長した企業はいくらでもある。正に『光の部分』である。
その一方で『影の部分』としては、自SC内のみならず同地域SCの競合他店にも負けて計画通りいかず苦戦する例も数多く見受けられる。
時間と労力・金等を費やしながら人を替え、MDの変更をしたりしてやっと利益を出せるようになり『これからだ!』としても、過酷な現実に直面する場合もある。
過酷な現実とはデべからの『退店勧告』である。そこに必ず出てくるのが『リニューアル』とか『定借契約満了』である。
デべとテナントとは共存関係にあり、一種の運命共同体とも言える。
それぞれの立場での実に様々な『都合』が出てくるが、デベの考える『物差し』=MD・売上げ等が最優先される。
デべにとって大変『都合』のいいのは、ご存知の1992年(平成4年)に施行された『定期借家契約』である。
SC業界とはいえ、資本主義経済社会であるからデべとしても、いつ?何処で?誰が?何を?どう選択し、どのような結果が出ようとも、全て『自己責任』になる。
自施設の生き残り・発展の為に必死なのである。その為のイメージ作戦と何よりも賃料収入の確保は大命題となり
『勘違い』は許されないのである。