株式会社ジェイ・プラン

COLUMN
だから開発はオモシロイ

第12回 人手不足と開発 

商業施設新聞 2015年9月15日(火)掲載

 昨年秋郊外型のSCにおいて、とある美容室の出店の話がまとまった。かなりの時間をかけ経済条件その他もろもろで難儀はしたが…。
デベロッパー共々テナントにおいても数か月先の開店までの道のりを順調に歩んでいると思われたが、歳の暮れも押し迫って『今回の出店はできません、従業員が集まりません。』との突然の電話。現地採用人員の募集広告を何回か出したが全然応募がないとの一方的な通告。本部からの配置転換もままならないらしい。勿論その後交渉を継続させようとしたが会う事も拒否し電話にも出なく、止むを得ずドタキャンの結末になってしまい、デベロッパーに対して大変な迷惑をかけてしまった。
この様な『人手不足問題』は現実にあちこちで起きている。特に郊外大型モールの新規出店での従業員募集=人集めも大変だと聞く。もともと周辺人口が少ない地域に、大量の労働力を必要とする新規オープン、必然的に需給バランスが崩れ時給をアップせざるを得ない、その上遠隔地からの通勤者が増え支給交通費も増大と2重苦3重苦となり、経営計画も狂ってくる。
既存店においても人手不足により既存従業員に過度の負担がかかりアルバイトの多くが退職し、昨年100店舗以上の一時的休業と営業時間短縮に追い込まれた飲食店もある。又労働協定を大きく上回る長時間残業(違法)をさせていたとして警告を受けた有名物販店もある。
 ここ新宿でも飲食店で、メニューによるオーダーはとれるがそれ以外は全くダメ!という外国人労働者の就業も当たり前に増えている。
 一方『長時間営業』のSCにおいては、出店テナントが良質の労働力の確保に頭を悩ましている。
どこの店、企業においても『企業イメージ』を大切にし『ブランド力』を高めようとの成長戦略が欠かせないのは当り前の事だが、その為には現実問題として、社会構造の変化、少子高齢化、労働力の不足等々はより深刻化し流通業界のみならず避けて通れない大きな関門である。
開発担当者としてどの様に対処すべきか?
なかなか答も見つからない。だからと言って出店に備えての余剰人員を抱える事も難しい世の中である。
企業としては、より長期的視野に立っての
採用計画、人材育成、教育は開発戦略を立てる上に必要不可欠であるといえる。
何よりも『店は店長産業』であるから。

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